韓国の写経テキスト
事務局長の佐藤です。
今日は韓国の写経テキストを紹介します。
日本と同様、韓国でも写経が修行の一つとして行われています。ここで紹介するのは無比和尚という僧侶が編纂した『金剛般若経』写経テキスト(▼)です。

韓国で『金剛般若経』は、韓国仏教の中心宗派である曹渓宗の所依経典とされていることもあり、僧侶だけでなく信者も読誦、写経などを行う有名な経典です。また無比和尚は現在の曹渓宗を代表する学僧で、大宗師という称号を持っています。釜山に「文殊禅院」を設立しその中に「写経修行道場」を作りました。そして2008年に「写経修行共同体」を作り写経を推進しています。
冒頭の頁(画像2)を見ると、上の方に経典の漢字が書いてあり、下にハングルで翻訳が書いてあります。漢字は、なぞって書けるよう薄く書いてあり、その下に一文字ずつハングルが書いてあります。これは漢字の解説です。韓国では日常生活でほとんど漢字を使わないので、漢字に馴染みのない人が多く、漢字を見ても意味も読み方もわからない場合が多いので解説が必要なのです。

例えば「金剛般若波羅蜜経」の「金」を見ると、その下にハングルで「쇠 금」とあります。「쇠(発音:スェ)」は一般的に「鉄」という意味ですが同時に金属の総称の意味もあります、「금(発音:クム)」は漢字「金」の音です。つまり「쇠 금」は、「金属類の意味のクム」という漢字の意味と発音についての情報が書かれています。これは韓国で一般的に漢字を説明する時の方法です。
佐藤 厚