<話題の本>『死の光に照らされて』

〇 ラリー・ローゼンバーグ (著) 島田啓介 (翻訳) 井上ウィマラ (解説)
 『死の光に照らされて: 自由に生きるための仏教の智慧』(薄月、2024年)

 事務局長の佐藤です。
 今回は2024年に刊行された、ラリー・ローゼンバーグの本を紹介します。題名の「死の光に照らされて」というと怖い感じがしますが、これは死と向き合うための仏教の智慧を説く書物です。「四苦」の中の老い・病・死という、逃れることのできない苦しみに向き合うことが真の生へ繋がるといいます。仏教の基本的な教説ですが、一つ一つ著者の体験と洞察が込められています。

 ラリー・ローゼンバーグは米国の瞑想指導者で、1932年、ロシア系ユダヤ人の移民の家庭に生まれ、ニューヨーク市ブルックリンで育ちました。社会心理学の博士号を取得し、シカゴ大学やハーバード大学などで教鞭をとった後、職を辞して、ジッドゥ・クリシュナムルティ、アーチャン・チャー、アーチャン・マハーブーワ、プッタタート、崇山行願、片桐大忍、スー・ユンにヨーガ、禅、ヴィパッサナーを学び、主にヴィパッサナー瞑想を教えるインサイト・メディテーション・センターをケンブリッジに設立、またインサイト・メディテーション・ソサエティの創設に関わり、以来30年に亘り瞑想指導を続けています。

 私が面白いと思ったのは、著者が様々な国の仏教者に学んでいることです。ヴィパッサナー瞑想の本場であるミャンマー、タイをはじめ、チベット、日本、韓国の禅師にも師事しています。私は何となく、精密に心理の変化を観察するヴィパッサナー瞑想すなわち上座部の実践と、非論理的な問題を参究する公案禅に代表される東アジアの禅は、悟りを目指していることは同じでも、質的に違うもののように思っていましたが、著者は、両者の違いをものともせず、自己究明に必要なものを様々なものから吸収しています。

<参考> (amazon サイトが開きます▼)
『死の光に照らされて: 自由に生きるための仏教の智慧』

佐藤 厚

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